胸踊るトロント散策 チャイナタウン オンタリオ湖
ムーネです。
25年以上前の忘れかけた記憶をたどりながら書いていると、いろいろな思いが駆け巡る。
当時、確実に今より自由で、自分で自分の道を行く。そういう自分がいました。アンチェインな生活をしていた❗そう自負しています。
私には現在二十歳過ぎた息子がいます。
勉強が嫌いな息子は、高校卒業後すぐに就職しました。
就職先は、まあ〜とんでもないブラック企業で24時間営業、シフト制、朝に出て行って帰ってくるのは深夜が当たり前、残業はタイムカードを押してから。
そんな状況でも息子は仕事にやりがいは感じているらしく、一生懸命やっていました。
なにも言わずに、見守っていた私でしたが息子の言動に危険を感じ始めました。
「創業者は仕事が好きすぎて寝ずに仕事をしていたらしいよ」
「社員とバイトは違うから❗定時でなんか帰れないよ。」
部屋のゴミ箱にエナジードリンクの空き缶が数十本と無造作に捨てられていた時は、さすがに寝ている息子を叩き起こした。
「なんだよこれ?中毒になるぞ❗」
「寝れなくてさ。先輩にいいぞって言われてさ。これなしじゃきついよ。」
「お前いつか死んじまうぞ❗会社やめろよ❗まだ若いんだから、自分のやりたいことあるだろ?」
息子は黙っていた。
私は、こんなところで息子に潰れて欲しくなかった。
息子がおもむろに口を開いた。
「俺も少しは考えてるよ。仕事は楽しいし、人は悪くない。だけどここで終わるつもりはないよ」
その言葉を聞いて私は少しホッとした。もう少し見守ることしました。
このような若者に向かってエールを込めて、私はカナダ生活回想録を書いているのかもしれない。
いや、もしかしたら歳のせいにしたり、仕事で忙しい、カネがないといって挑戦しなくなった自分自身に向かって書いているのかもしれない。
だいぶ話が脱線してしまったが、カナダでの一日目の朝を迎えた私は、トロントのダウンタウンへ行ってみることにした。
トロントの地下鉄は東京の地下鉄とは違い、東西線と南北線からなる非常にシンプルな地下鉄だった。
駅構内には「一番線に上り電車が参ります」なんて気の利いたアナウンスなど一切なかったと記憶してます。
電車内でも、素敵なお姉さんが読み上げる「次は銀座。銀座。」などの
美しい名調子などなく。
オッサンがぶっきらぼうに駅名だけを一言告げるという味気ないものでした。
地下鉄を降りて、歩いて散策してみることにした。クイーンズパークという公園に行ってみた。
素晴らしい公園だった。緑に囲まれ、春らしく、木々が青々としていた。
しばらく歩いていると、チャイナタウンが見えてきた。生ゴミ臭が鼻を突いた。静かな街並みから一変、エネルギーに満ちあふれていた。
トロント滞在中、このチャイナタウンにお世話になり、深く関わるなんて、この時知るよしもなかった。
金融街辺りを歩いていると、ちょうど小腹がすいてきたのでホットッドクを食べた。BIGサイズで2ドルくらいだったと思う。これからのことを考えてると節約に徹するしかなかった。
散策の最後にと、オシャレなハーバーフロントをぶらつき、雄大なオンタリオ湖を眺めて家路についた。
つづく