アンチェインな生活 海外生活回想録編

もっと自由で有意義な生活を切望する中年男が、若かりし日、アンチェインだったカナダ生活を回想するブログ

壁ドンされたことありますか?

ムーネです。25年以上前のトロントでのワーキングホリデー生活を記憶をたどりながら書いてます。それではお楽しみください。

前回、ジャパレス「日本の心」でのエピソードについて書かせてもらいました。
nobubladerunner.hatenablog.com
今回はジャパレス「日本の心」で起こった今でも忘れる事ができない最大のエピソードを書きたいと思います。

相変わらず店は暇でした。目抜通りに面しているというのに・・・。
そんな事はお構い無しにバイトのみんなは日々ゆる〜く仕事をこなしていました。
しかし女主人だけは売り上げが伸びずイライラしてました。

ある日、遅番のシフトに入っていた私は淡々と仕事をこなしていました。
お客さんは数人で、閉店まで1時間を切っていました。
気だるさが店を漂っていました。
「早く終わらんかな〜」

そんな空間に二人の男が突然入って来て空気を変えました。
「トイレ貸してくんね〜か〜」
声の主を見ると、そこに立っていたのは二人組の男でした。

ブロンドヘアーのマッチョ系伊達男と、もう1人も白人男性でした。もう1人の身なりは忘れてしまいました。
何故かと言うと、ブロンドヘアーのマッチョ系伊達男があまりにも強烈すぎて、どうしても思い出せないのです。

マッチョ系伊達男はタンクトップ姿でフェロモンを辺りに撒き散らしていました。
二人は、いかにも観光客という感じで現地のカナディアンには見えませんでした。
私は正直、面倒くさいのが入ってきたぞと困惑しました。

「トイレどこだい?」
私はマッチョ系伊達男にトイレの場所を指差しました。
マッチョ系伊達男は私に近づくと、微笑みながらウインクしてきました。
私は困惑しながらも、微笑みを返してしまいました。それが後々思わぬ方向へいくことなど知る由もありませんでした。

トイレに入ったマッチョ系伊達男が何分経っても出て来ませんでした。
もう1人の白人男性はと言うと客でもないのに客席に座り休んでいました。

「おかしいな〜、何かおかしいな〜、大きい方でもしてるんかな〜それにしても遅いな〜」と思っていると、トイレのドアをノックする音が聞こえました。
「ゴン、ゴン、ゴン」
「トイレットペーパーなら十分すぎるほどあるはずだぞ!」
ドアをノックする音は鳴り止みませんでした。

何かあったのだろうと思った私は調べるためにトイレに入りました。
薄明かりの中、マッチョ系伊達男が立っていました。

私は瞬時に察しました。
「これアカンやつキテるぞ❗」
マッチョ系伊達男が徐々に私の方に近づいてきました。
「ストップ!ストップ!」
私は制止しましたが、マッチョ系伊達男は止める気配はなく迫ってきました。
恐怖心はありませんでした。このシチュエーションに笑うしかありませんでした。

この曖昧な態度がマッチョ系伊達男を勘違いさせ、ハートに火をつけてしまったのです。
私は壁に追い詰められ、行き場をなくしました。
「ドン!」
少女マンガのイケメン張りの壁ドンが炸裂しました。
「止めろ〜止めてくれ〜」
「わかった!わかった!」
私はマッチョ系伊達男の壁ドンから開放されました。
マッチョ系伊達男は私からペンを借り、紙切れに何かを書いた。
「ここに泊まっているから遊びに来いよ」
マッチョ系伊達男は電話番号らしき数字が書かれた紙切れを私に手渡した。
「連絡してくれよ!」
マッチョ系伊達男達は意気揚々と店を去っていった。

嵐が過ぎ去り、店に平穏が戻った。
マッチョ系伊達男から手渡された紙切れは直ちにゴミ箱に直行したのは言うまでもない。

その後、客足が伸びず業績不振に陥った「日本の心」は人減らしすることになり、私はクビになった。
また1からバイト探しをすることになった。
つづく