カリフォルニア・ロール 最高っす!
ムーネです。25年以上前のトロントでのワーキングホリデー生活を記憶をたどりながら書いています。それではお楽しみください。
その前に、先日、千葉県にある夢の国へ行って来ました。毎年、娘の誕生に行くことになっている家族恒例の行事です。
今回は娘の希望で海編へ行くことになりました。
海編は大人も楽しめるので、私も十分楽しみました。
それにしても夢の国は涙腺ゆるゆる親父にとっては危険きわまりないところですよ。
お子様向けミュージカル調のショーを見ていて、涙腺がゆるんできて危なく涙するところでした。
機関車に乗っていると、キッズやお姉さんが笑顔で手を振ってくれます。
普段は絶対にやらないであろう私が、ふざけてであっても!満面の笑みで手を振っていました。何なんでしょうね〜。
生活に疲れている方、泣きたい方、笑いたい方、行ってみると良いですよ。話が長くなりましたが本題に戻りたいと思います。
寿司ビストロ「オーシャンブルー」(仮名)でのバイト生活は順調でした。下っ端小僧である私の仕事は飯炊き、酢を混ぜるなどでした。
しばらくして、包丁を握らせて貰うことになり、手巻きや巻物用の胡瓜などを切ることになった。
仕事を覚えれば覚えるほど、色々とやらせて貰えるので楽しかった。
ある日、ジョニーさんに呼ばれた。
「マサ坊(私のあだ名)!カリフォルニア・ロール作ってみるか?」
今では日本の回転寿司などで普通に置いてあるが、当時はまだ珍しかった。
私は心の中で思った。
「赤いプチプチが表面にコビリ付き、芋だか何だかんだ分からんアボカドってやつとカニカマ、胡瓜が入った邪道な巻物だろ!
そうそう、大して好きでもないマヨネーズがたっぷりとかかってたよな!」
ジョニーさんのやり方を見よう見まねで作ってみた。
「初めてにしちゃ〜上出来だ!食べてみろよ!」
邪道な巻物に困惑しつつ初めて食した。
「なんじゃ!これ!プチプチしてて面白い食感!マヨラーでも何でもない俺が初めてマヨネーズが旨いと感じたぞ!俺が間違っていたんだ!これは!これは邪道なんかじゃない!」
「どうだ?マサ坊、旨いか?」
「ジョニーさん、俺が間違ってました」
「何がだ?」
「こんなの巻物じゃないだろって」
「それで?」
「カリフォルニア・ロール最高っす!マジに旨いです」
「食わず嫌いってやつだな」
そう、私は食わず嫌いをしていただけなのだ!巻物とは海苔で巻かれたシンプルな物だという固定観念にとらわれていただけだった。
それ以来カリフォルニア・ロールがお気に入りになったのは言うまでもない。
日々の鍛練からか、だんだんと、まともなカリフォルニア・ロールが作れる様になった。包丁で巻物を切るのって結構難しくて、強引に切ると潰れるんですよ。
ジョニーさんに引いて切れと口酸っぱく言われ、まともに切れる様になりました。
見てくれ的にも悪くはなくなった私のカリフォルニア・ロールは次々とカナディアンの口に入っていった。
それを見ていて、少し複雑な気持ちになった。カナディアンのお客さんは素人同然の私が作ったカリフォルニア・ロールを職人の作った物と思い、食べているのだ。
こんなんでいいのか?大丈夫なのか?と思った。しかしカウンターに座っていたカナディアンのおば様の「美味しいわ!」のひと言に、何か救われた気持ちになった。
まかないを食べている時、キッチン軍団の下っ端小僧、サトルが話し掛けてきた。
歳が同じ出身地も同じで会話が弾んだ。
「今度、家に遊びに来いよ!1人ちっちゃいハゲのカナディアンがいるが気にしないでくれ!」
カナディアンの男のアパートにシェアさせて貰っているらしい。
私はサトルの家に遊びに行くことになった。
サトルはまだ、私の前では気さくな巨漢の男に過ぎなかった。(身長185㎝体重100㎏)
しかし遊びに行った奴の家で暴走トラックの片鱗を見せるとは!この時知る由もなかった。
つづく