アンチェインな生活 海外生活回想録編

もっと自由で有意義な生活を切望する中年男が、若かりし日、アンチェインだったカナダ生活を回想するブログ

アメリカ合衆国をバスで回りたおすぞ!パート1 これって奇跡の再会だよね?

ムーネです。25年以上前のトロントでのワーキングホリデー生活を記憶をたどりながら書いています。それではお楽しみください。

トロントでのワーキングホリデー生活ネタもほぼ尽きたので、最後の総決算としてグレイハウンド・バスで巡るアメリカ合衆国の旅について書きたいと思います。

真冬になり、トロントでのワーキングホリデー生活も終盤に入った。

とうとう日本にいる時から計画を立てていたグレイハウンド・バスで巡るアメリカ合衆国の旅を決行するときがきた!

1ヶ月間乗り降り自由のフリーパスは持っている。十分な資金もある。準備万端整った。

自由気ままな旅がしたかったので、この都市に何日間滞在するなどの決め事はしなかった。

出発日、トロントのバスターミナルでニューヨーク行きのバスを待っていた。
先ずはニューヨークに行くことにした。

前回、ヒデオとニューヨークへ行った時はボトルマン事件が勃発し、不満足な部分もあったのでリベンジするつもりでいた。
絶対にオモロイ事をしてやろうと思った。

ニューヨークまでの長い道のり。多少のダルさはあったが、そんなに苦にはならなかった。2回目だったので、身体が慣れたのかもしれない。

ニューヨークへ着くと、すぐにユースホステルへ向かった。
チェックインを済ませ、美術館巡り、公園に行ったりして楽しんだ。

ニューヨーク2日目、夜にライブを観に行くことにした。
ニューヨークに来たからには、普段聴けないないようなライブを聴きたかった。
ニューヨークといえばジャズだろう!と言うことでジャズクラブへ行くことにした。

ロン・カーターと言う名ベーシストのライブに行くことにした。

ロン・カーターとは、私の大好きなマイルス・デイビスのバンドでベースを弾いていた凄い方なのだ!

普段、レゲエだのロックだの言っている奴がジャズとは上品ではないか!と思うかもしれないが、ある人の影響で聴くようになった。

音響の専門学校に通っている時の非常勤の先生だった人の影響だった。

この先生からは他にも影響を受けた。
感性を磨くなら海外に行きなさいと、よく言っていた。
少なからず、この言葉があったからこそ、トロント行きを決断したところはあった。

ライブが始まるのは夜だった。間違いなく帰りは遅くなるだろう。帰りに道に迷い、ボトルマンに遭遇したり、暴漢に襲われるのは御免だ!

昼間の内にジャズクラブの周辺を歩いて回り、帰り道を徹底的に頭に叩き込んだ。

夜のタクシーに一人で乗ることは避けたかった。高額なタクシー代を請求されたり、変な所に連れていかれたらたまったものじゃない!

公共交通機関が無難だと思った。かといってニューヨークの夜の地下鉄は危険度MAXだと思った。映画の観すぎだろうか?
結局、路線バスに乗って帰ることにした。
運転手もいるし、一番安全だと思った。

夜になり、私はジャズクラブのテーブルに一人で座っていた。ドリンクを頼み、ライブが始まるのを待っていると、一人の日本人の初老男性が私の対面に座った。

その日本人の初老の男性はテーブルを指で叩いてリズムを刻み、曲を頭の中で奏でいるのか?自分の世界に入っていた。

オイオイ!オジサン。トントン止めてくんねえかな〜。まだライブは始まってねえけど!早いんじゃねえか?と思った。

どんな顔してカッコつけているんだと初老の男性の顔をよく見ると、見たときある顔だった。

ビックリした!音響専門学校の非常勤の先生だった、○田先生ではないか!

貴方の影響でジャズを聴くようになり、貴方の影響で海外に行くことを決意した!
○田先生ではないか!私は○田先生に声をかけた。

「あの〜失礼ですが、○田先生ですが?」

「如何にも、私は○田ですけど」

「私、音響の専門学校で先生の生徒だったんですが、覚えてないですよね〜」

「何か見たときある顔だな〜。思いだしましたよ!思いだした!」

ウソつけ!全然覚えてなんてないよな!とツッコミをいれたかった。

「私、先生の言葉、感性を磨くなら海外へ行けって言葉に強く感銘を受けまして、トロントに住み、1ヶ月かけてアメリカを放浪しているです」

「それは嬉しいな〜。そういう面白い事をたくさんやりなさいよ」

奇跡的な再会だった。こんな所でこんな事があるとは思わなかった。

興奮冷めやらぬまま、ロン・カーターのライブが始まった。ライブは素晴らしいものだった。

ライブの束の間の休憩中、○田先生は席を立った。

「私はオジャマしますよ。元気で!」

「ロン、あんたの音を少し、聴きたかっただけなんだ」と言わんばかりに途中で帰っていった。粋なオヤジだな〜と思った。

ライブが終わり、私は細心の注意を払いながらユースホステルへ帰った。
つづく