アンチェインな生活 海外生活回想録編

もっと自由で有意義な生活を切望する中年男が、若かりし日、アンチェインだったカナダ生活を回想するブログ

私はオモテナシ人にはなれましぇ〜ん!

ムーネです。25年以上前のトロントでのワーキングホリデー生活を記憶をたどりながら書いてます。それではお楽しみください。

私はジャパレス「日本の心」をクビになり職を失いました。あれだけ暇であれば、人減らしにあってもしょうがないと思うしかなかった。
気持ちを切り替えてバイト探しを始めることにしました。

キッチンで食事を作っていると、レゲエ親父のエソが話し掛けてきました。
たわいもない話しで盛り上がりました。
「ところでムーネ。お前、仕事やってるのか?」

「最近までジャパレスのウェイターやっていたけどクビになったよ!」

エソが心配そうに言ってくれました。
「金は貸せん。しかし良いアイディアならある」
私は仕事でも紹介してくれるのかと思い、少し期待をしました。

「この婆ちゃん直伝のキャロットジュースを飲んでみろ!」

ジューサーで作った、いかにも健康そうなキャロットジュースを私に手渡した。
飲んでみたが、お世辞にも美味しいとは言えなかった。

「ムーネわかるか?このジュースは凄げえ健康的なんだ!それにうまい!これを家の前でキッズ達に売ってみろ!バカ売れするぞ!」

このレゲエ親父は何を言っているんだ?冗談だろ?苦笑いするしかなかった。

「お前がやらないなら俺がやる」

「とりあえず遠慮しとくよ」

「そうか・・・。いいアイディアだと思ったんだけどな・・・」
エソは部屋へと帰って行きました。

こんな子どもみたにな発想をするレゲエ親父に私は癒され元気を貰いました。

なんとかジャパレスのバイトの面接にこぎ着けた。今度のジャパレスは前回の店みたいにユルイ感じの店ではなかった。
本格的な日本料理の店で、店名は「浮世絵」(仮名)と言った。格式高い店だった。
私には高級すぎて不釣り合いだった。
面接を受けずに帰ろうかなと思った。
しかし、そうも言ってられないのだ。
面接にありつけるだけでも有り難いことだった。
背に腹はかえられない!面接に向かうことにした。

とにかくデカイ店だった。100人くらいは入ると思うくらいの大箱だった。
料理人も本格的な人達で、海外でよくある素人のエセ料理人ではなかった。

面接が始まった。面接官はホールの女主任だった。
初めて対峙した時から苦手意識を持ってしまった。笑いながら話していても目が笑っていなかったのだ。
なんとか面接を無事終える事ができた。
まぐれなのか、女主任に気に入られたのかは分からないが合格してしまった。
格式高い日本料理店「浮世絵」(仮名)で働くことになった。
その時、このバイトも長くはもたないだろうなど知る由もなかった。

働きだして数日が経った。働いてみて、
来る所を間違えたと初めて悟った。
とにかく接客のレベルが半端なく高く、私には厳しかった。
レゲエやロック好きのワーキングホリデーでやって来た小僧が耐えられるレベルではなかった。

女主任は特に厳しかった。私のつたない接客や諸作法に目を光らせていた。
それはもう女鬼軍曹と言っても過言ではなかった。
もしも世界オモテナシ選手権というものが存在するならば、女主任は間違いなく、3連覇するような超一流だった。

板場の人達にも馴染めなかった。俺達はお前とは違うんだよオーラが半端なくでていたからだ。

こんな閉鎖的空間に辟易としてしていた私だった。
しかしこんな中にも一輪の美しい花も咲くみたいで、中国人のリュウさんという綺麗な女性がいました。
日本に留学していたらしく、日本語は普通にしゃべれました。
私が女主任にこっぴどく叱られた時など、リュウさんは励ましてくれました。
綺麗なだけでなく、優しさも兼ね備えた女性で、お姉さん的存在でした。
何度危なく惚れそうになったことか!

ある日、事件は起きました。板前の長の何気ない冗談が・・・。
「お前のさあ〜そのガラガラ声何とかなんないか〜。焼き場で焼き切れば良い声になるんじゃないか〜」
何ですと❗高校時代ヘビメタ男子の細田君から「渋い声だね〜。うちのヴォーカルやらね〜」と誘われたヴォイスを?

カラオケに行くと女子から「ね〜、もんた&ブラザーズ歌ってよ〜」と頼まれたヴォイスを?
焼き切るですと❗
この声はガラガラ声とは言わずハスキーヴォイスと言うんですよ❗と心の中で叫んでいた。

こんな閉鎖的な所で我慢して働くためにトロントにワーキングホリデーで来たんじゃないよな?去るしかないよな?
結局この一件が引き金となり「浮世絵」を辞めることにした。実質、1ヶ月いなかったと思います。

またバイト探しにをすることになった。
こんなことならエソが言っていたキッズ達を相手にキャロットジュースを売るのも良いかなと思う自分がいた。
つづく